金子みすゞ・今日の詩



                             不思議

                 私は不思議でたまらない、 
                   黒い雲からふる雨が、
             銀に光っていることが。 
                                 
                  私は不思議でたまらない、  
             青い桑の葉たべている、  
                   蚕が白くなることが。
                        
                 私は不思議でたまらない、  
              たれもいじらぬ夕顔が、
             ひとりでぱらりと開くのが。
                      
             私は不思議でたまらない、
             誰にきいても笑ってて、
             あたりまえだと、いうことが。                      
「日めくり・金子みすゞの世界 朝焼小焼だ大漁だ」(金子みすゞ/詩、矢崎節夫/選、酒井大岳/書・JULA出版局)より。 このページの詩の掲載については、JULA出版局及び金子みすゞ著作保存会の許可をいただいています。 商用目的での無断転載はご遠慮下さい。。


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