遠州地区私立幼稚園協会研修会
静岡聖母学園磐田聖マリア幼稚園の公開保育

平成12年9月28日、磐田市の聖マリア幼稚園において遠州地区私立幼稚園協会の園内研修会として 公開保育が行われました。聖マリア幼稚園では、4つのおさらのランチョンマットを使った食育を 吉田隆子さんの指導のもとに1985年から実践しています。これは『元気な子への5つの能力』の中 の食べ物を選ぶ能力を育てるものですが、公開保育レポートに入る 前に、これまでの聖マリア幼稚園での実践経過を説明しておきましょう。

聖マリア幼稚園の実践
私たちの体は、食べ物によって作られています。毎日何を食べるかによって、良い体を作ることも できるし、弱い体にもなってしまいます。賢く選んで食べることが、これからの時代を生きる子ども たちには大切なことになってきますが、聖マリア幼稚園では15年前から、この賢く選ぶ食事を 給食で実践しています。完全給食を週4日行い、食材の安全への配慮をはじめ、出きる限りの手作りを 心がけています。食への取り組みは園長(フランス人 ジャン・バルビエ氏)をはじめ、職員全員 意欲的です。園独自に食育ランチョンマットを開発し、使っていることも独創的です。 この園の給食の特徴は主食一汁二菜という4つのおさらの献立を組み合わせた料理を、食育ランチョン マットの上において、食育トレーニングをしながら、食習慣の形成をおこなっていることです。 食事後は、別に作った食育実践カードに子どもたち自身が記入して、つねに4つのおさらをしっかり 食べることを認識するとともに、家庭にも持ち帰って見せるようにしています。

聖マリア幼稚園の様子
給食はすべて自園での手作りです。 給食室入り口には各クラスの食器が並べられていて、 その日の当番が給食室から食器、料理、牛乳を自分のクラスに運びます。 盛りつけは担任の教師がしますが、配膳の手伝いは子ども達もします。 各クラスとも3,4,5歳児混合クラスなので、大きい子が小さい子の仕度を手伝います。 別の係の子は、4つのおさらのホワイトボードに、月の献立表を見ながら食材のシールを 貼ったり食材名を書いたりします。 いただきますの前には給食当番がみんなの前で献立名と食材を発表します。
永年の食育、自園での給食、混合クラス、情操教育…いろんな要素が絡み合っているのだと 思いますが、食事のマナーや食べっぷりには驚いてしまいました。

今回の公開保育は『心と体の栄養〜食の面から〜』をテーマに、当日の給食にふくまれる食材を 使っての活動です。クラス別に4つのおさらをひとつずつ担当しました。


白のおさら・おいしい味を知る
先日見たこびとさんの劇の、おいしいあじのお手伝いをしてくれる白のこびとさんの仲間を確認。 しいたけ・かつおぶし・こんぶ・塩・コンソメ・味噌など。
事前にとってあった3種類のだし(しいたけ・こんぶ・コンソメ)をみんなでみて匂いも嗅いでみた。 その後で、カツオブシのだしつくりに挑戦。カツオブシを削ってみんなで味見。 水を入れた鍋をコンロにかけて、削ったカツオブシでだしをとりました。 今日の白のおさらは『シメジとみつばのお吸い物』です。給食の準備をする時からずっと 教室中においしい香りがただよっていました。
白のおさら・ごま
ゴマの育ちを知って、口に入るまでの過程を経験し、自分たちの作ったものを食する喜びを 感じることがねらい。 公開保育の3日前からゴマの話をし、茎をみせ、実際にビニールシートの 上でゴマをたたきおとし殻やゴミを拾って、公開保育日のゴマを準備。このゴマが当日の給食の 緑のおさら『ニンジンとホウレンソウのゴマ和え』になることを伝えておきました。
公開日当日前日までのことを簡単に話して復習。フライパンで金・黒・白の3種類の ゴマを混ぜて煎る。煎ったゴマをする経験を25日にしておいたので、それを思い出しながら すり鉢でゴマをすりました。すり終えたゴマをみんなで味見したあと、ひとつのすり鉢に まとめて給食室に持って行きました。
黄色のおさら・ごはん
稲穂を準備しておいてみんなでみたあと、玄米を精米機で精米。 精米した米を年長さんが交代でといで、だんだん水の色が透明になって行くのを確認。 透明な鍋でご飯を炊く。ご飯を炊く時のおまじない『はじめちょろちょろなかぱっぱ  ふきはじめたらひをひいて あかごないてもふたとるな』を言ったり、今日の献立を 4つのおさらにわけて確認したりして、ご飯が炊けるのを待ちました。
赤のおさら・サバ
家庭の中で子ども達が経験することの少ないものの順でいけば、トップはゴマをたたきおとして、 煎って、すり鉢ですることでしょう。精米することも、カツオブシをかいてだしをとることや、 大豆を煎ってキナコを作ることも一般家庭では見られなくなりましたが、そのインパクトの強さ 度合いからいくと本日のメインはこのクラスではないでしょうか。 今日は近くの魚屋のおばあさんがサバを持っての特別参加。鮮やかな手つきでサバをおろして 内臓も「おなかのなかだよー」ブラブラ。クラスは騒然。立ちあがってサバ見物。 赤のおさらは何がある?どんな魚を知ってる?サバはどこに住んでるの?サバは何食べてるか 知ってる?色んな会話をし、絵も見せながら人間とのお腹の中の違いや、サバの種類を説明。 今はマサバのおいしい時期なんだよねー、おばさん。と魚屋さんにも教わりながらさらに説明。 特に『命をいただいて生きている』説明につながる食物連鎖のはなしや、サバを食べると どうなるのかという話は、とてもむつかしくて理解できない部分があるのではと思われましたが 子ども達は皆真剣に聞いていました。 最後に、ひとりひとりサバの皮の部分と、身の部分、内臓すべてをこわごわ指の先でさわって この時間の終わり。きれいに手を洗って給食の仕度。今日のサバは『竜田揚げ』となって みんなの赤のおさらにのりました。年長さんはひとり4切れ食べる子もいて素晴らしい食べっぷり。
黄色のおさら・豆ご飯
大豆の正体を知り、大豆がいろいろなものに変身することを知る活動。 ペープサートで納豆、豆腐、醤油、味噌、モヤシ、きなこ、他いろんなものに変身することを示し 今日はきなこを作ってみることになりました。 ホットプレートで大豆を煎り、ミキサーで粉にし、その間にマカロニをゆでて、 出来あがったきなこをまぶして食べました。 今日の給食のご飯は大豆を入れて炊いた豆ご飯でした。

遠州地区の各園から1〜2名ずつ参加した本日の研修会、午前中は公開保育、昼食をはさんで 午後は吉田隆子さんによる食育講演会でおわりました。